【読書】『香川にモスクができるまで』を読了しました!

  • 2023年2月24日
  • 2023年5月18日
  • 読書

先月に発売され、読みたいと思っていた岡内大三さん著『香川にモスクができるまで』を読了しました!

香川県でモスク建立のために奔走する本書の主人公であるフィカルさんにスポットライトを当てながら、地方都市を生きるムスリムたちの日々の生活や悩み、彼らに向けられる偏見や差別、一方でイスラームを通じたコミュニティや絆の強さ、本書のテーマであるなぜここまでモスクの建立にこだわるか、などが分かる良質なルポだと感じました。

本書でも書かれていますが、ムスリム人口の多いランキング順にインドネシア、パキスタン、インド、バングラデシュと実はアジアこそ最大のムスリム人口を擁する地域なんです。イスラーム=中東とは必ずしも言えません。

確かに瓦町や片原町など街の中心街で歩いているとインドネシア出身なんだろうなーという方々を時折みかけます。
そして私が街頭でニュースを配っているとほぼ必ずと言っていいほどヒジャブを着ている方が、ニュースを受け取ってくださいます(インドネシア出身の方とは限りませんが・・・)。

思い返せば、学生時代に最初に入ったサークルが論文をお試しで書いてみようというサークルで、その時のテーマが「トルコがイスラームするか世俗化するか」でした。

その後、大学院時代に英語の練習相手(ランゲージエクスチェンジのパートナー)になってくださったインドネシア出身の方でした。彼は、政治学専攻の博士課程在籍でムスリムということもあって、それまでの私が持ち得ていなかった様々な新しい視点を与えてくれました。そうした学生時代のきっかけもあって、今も私は、本やAljazeeraといったニュースサイトなどでイスラーム社会やイスラーム地域に関してウォッチを続けています。

またモスクのデザインが好きで、マレーシアやアラブ首長国連邦などイスラームとの関わりが深い国や地域を訪れた際には必ず現地のモスクに行きます(写真は、日本人観光客だらけ?のシャー・アラムのブルーモスクです)。

今盛んにSDGsが声高に叫ばれていることもあって、多文化共生社会の推進が行われていますが、なかなかうまくいっていません。

特に日本では、外国人労働者、技能実習生、難民の方々に対して極めて冷酷な施策がとられ続けてきました。
農業や建築業などの私たちの生活にとって欠かせない基幹産業においてもはや外国人労働者なしには成り立たない実情、他国だったら難民認定される条件にも関わらず認定されない(2021年は0.1%の認定率)問題など様々な課題や問題や山積みです。

長々と書いてしまいましたが、要は地域や自治体から「多文化共生社会」をしっかりと考えていきたい!と本書を読んで改めて感じました。